ヨーロッパ出張 2024 イタリア編(クレモナ)
< ヨーロッパ出張レポート③ >
少し遅くなりましたが、最後はイタリア クレモナでのレポートをお届けいたします。
今年はクレモナ・ムジカに加え、3年に1度開かれる「トリエンナーレ・コンペティション(国際弦楽器製作コンクール)」も開かれておりました。
「トリエンナーレ」とは現代の国際製作コンクールの中では最も参加規模が大きく(今年は300人以上の参加)、世界中の弦楽器職人や弦楽器業界人たちが注目する権威あるコンペティションです。(正式名称は”Il Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari”)
今回はそんな貴重なイベントの様子も拝見してまいりました。
[ イタリア編 in クレモナ ]
ミラノ中央駅から電車で約1時間、クレモナ駅に到着。
やはりイタリアの駅はどこも、外観が美しい。
翌日。
朝からクレモナ・ムジカの会場へ
1年ぶりですが、中は相変わらずの賑わいの雰囲気があります。
今年も吸い込まれるかのようにPetko Petkov氏のブースへ。
毎年の恒例ルートみたいになりそうです。(笑)
いつもすばらしい楽器の提供をありがとうございます。
ドイツ弓メーカー Dörfler(デルフラー)
近年のインフレや弓材が貴重になっていく中、いつもリーズナブルな弓からマスタークラスまで変わらず幅広くご提供いただきありがとうございます。
弦楽器以外にも、興味が湧くようなブースもございます。
大量のレコードが置いてあるブース。
詳しくはないですが、レコード好きの人にはたまらないのでは。
すごく気になる音楽療法のブース。
寝転んでいる女性の下に男性がチャクラのような気を手で与えている様子。
かなりシュールな光景ですが、わたしも一度受けてみたいと思いながらじっと見つめておりました。
(いまだにこの療法がどういう効用や効果があるのか私はわかっておりませんが。)
それからも色んなブースを回りつつ今年のクレモナ・ムジカを見学しました。
この日の晩は駒メーカーのDespiau社に食事に招いていただきイタリアンレストランへ。
昨年は旅の不慣れによって中々食事を楽しめなかったのですが、今年は万全な体調?で。
どの料理も案の定おいしく、ポルチーニ茸からはじまり、肉料理、生ハム、デザートまで絶品でした。
一番初めからテーブルに置かれていた、肉団子のようなミートボールフライ(写真右下)だけはお腹がはちきれそうで手が出ませんでしたが。(笑)
昨年に引き続きありがとうございました。
食事中、代表者Nicolas Despiau氏とお話の中、弊社が40周年を迎えたことを伝えたところ、「明日、お祝いのプレゼントをあげるから私たちのブースに来て!」と。
すると、翌日のDespiau社のブースにてプレゼントをいただいてしまいました。
フランス?地元?で伝統のブランデーだそうです。
銘柄は詳しくありませんが、お酒好きのわたくしにとっては非常に嬉しい贈り物でした。
(帰国後、さっそくおすすめのストレートで飲んでみましたが42度もあり、アルコールも香りもかなり強かったです。ゆっくり味わいながらちびちび飲んでいこうかと思います。)
翌々日。
この日は街内の工房を巡ったあと、最後にトリエンナーレのエントリー作品を見に行きました。
会場に到着すると、
ざーっと300もの楽器が並べられており、初めての光景にワクワクが止まりませんでした。
いつもは順位毎に並べられていたとのことですが、今回は名前順で並んでいたため順位がわからず。。。
その一方で、先入観なしに自分なりの考えを持ちながら拝見することができたのはよかったです。
この日のために丹精込めて作られた楽器たちはとても興味深く、製作者の意図を想像しながら見る時間は有意義で非常に楽しいです。
この日は製作家の根本 和音氏に会場へ同行いただいていたため、同時に彼の製作家としての意見も伺いました。
「近年は楽器の綺麗さだけでは差がつきにくく、その先の誰にも出せない”何か”を作り上げることができる感性を持っている人が評価されている」とのこと。(その時の審査員の好みにも左右されるとのことですが。)
改めてコンクールのレベルの高さに驚愕です。
今までのゴールドメダルを受賞した博物館の楽器たちはその時代を作ってきた人たちの作品かと思うと感慨深かったです。(そう考えると根本氏はチェロで1位になったことは改めてどれほどの栄誉なのかとも思いました。)
また、根本氏自身の楽器についても伺い、楽器作りにおいての技術力や細部へのこだわりはもちろんですが、奏者への思いやりや理解を深めていこうという考え方が印象的でした。
その意識がトータルで素晴らしい楽器ができる感性に繋がっているのではないかと思いとても勉強になりました。
今回、彼がエントリーした作品はコンクール用として作られていたため、ご縁もありその内のヴィオラを弊社にて迎え入れさせていただくことになりました。
根本氏の最新の感性や技術が詰まった素晴らしい作品ですので、気なる方は是非ご試奏ください。
展示作品を見終え、ほっと一息をつきながら休憩。
300もの作品を一気に見たために頭の中はパンパンでしたが、気づきやポイントなどを自分なりに整理して今後の参考に。
(しかし、審査員の方々の見る目はもちろん素晴らしいとは思いますが点数をつけていく体力もすごいなぁと思わされました。)
今回の出張でもまた新たな発見や出会いがあり、非常に貴重な経験をすることができました。
まだまだ奥深い弦楽器ですが、もっと様々な方の作品を見てみたいという思いがより強くなりました。
来年も伺えること、そして新たな作品との出会いを楽しみにしています。
仕入れは随時みなさんにご紹介させていただきますのでお楽しみに!
P.S.
マルペンサ空港のマクドナルドは店員さんが超絶スローペースなので、利用される方は時間に余裕を持ってご利用ください。
(日本でのオーダーが出てくる早さはほんとに素晴らしいです。笑)