ヨーロッパ出張 2024 ドイツ編
< ヨーロッパ出張レポート① >
今年もやってきました&行って参りました!
イタリアで開かれる『モンドムジカ』の時期に合わせて、今回はドイツ(マルクノイキルヒェン、ミュンヘン)・イタリア(ミラノ・クレモナ)の全4拠点に行って参りました。
私のヨーロッパ出張は昨年に続いて2回目となりますが、昨年よりかはパワーアップしているはず!? ← 何が?
とにかく、今回もお伝えしたい内容はたくさんありますので、少しでもみなさまにその雰囲気を味わっていただけると誠に幸いでございます。
[ ドイツ編 ]
今回も大阪空港から羽田空港経由で14時間ほどかけ、ドイツのフランクフルト空港まで。
そして途中、寝ぼけながらもトランジットして最終地点のニュルンベルク空港へ。
今回は欠航もなく遅延もさほどなかった為、無事に朝8時頃ドイツに到着。(昨年の二の舞にならずひとまず安心。)
まずは目的地のマルクノイキルヒェンへ電車で向かうことに。
はじめての電車で案の定、行き方もわからず空港出口付近でもたもたしていたら…「下に行け!」と急にスタッフに言われ無料の地下鉄があることに気づきました。
正直、遠くからいきなり大きな声で呼ばれていたので自分に対してかもわからず、びびって無視しておりました。→スタッフさんすみませんでした。(笑)
そんなこんなで大きい駅(なんていう読み方か忘れた)に到着後、朝食を済ませてからルートを決めて出発!
この業界では”楽器の街”として有名なマルクノイキルヒェンですが、実はドイツの中では都会からかなり外れたところに位置しており、交通インフラも少ない地域です。
そのため、長い道のりを数少ない電車やバスをうまく使って行く必要があるのですが、この情報は現地に到着してから知りました。(事前に調べていなかった自己責任ですが)
バスで行くには途中からかなり歩かないといけないのと、万が一逃してしまうと面倒なので今回は目的地付近の「比較的大きめの駅」まで行き、そこからタクシーで向かうプランに。
ウトウトしながらも約2時間電車に揺られながら目的駅に到着。
そして、タクシー乗り場の標識を見つけ、「助かった!」と思った矢先…
「タクシーがない…。」
配車の仕方もわからず(ウーバーなんかは当然使えず)、頼りになるはずの交番もなぜか閉まっており、「最悪はヒッチハイクかな。。。」と心の中では不安と絶望でいっぱいな状態。
そのとき、
「・・・!? そういえば、駅の売店に人がいたよね!」
そんな思い付きからレジにいたおばあさんに助けを求めたところ、「タクシーを呼んであげるわ」と神の一言。←なんと優しい御方、感謝しかない!
その後、無事にタクシーと合流しマルクノイキルヒェンへ。(タクシーに乗れた時の安心感。ナビはこちらが説明しないとわからないおじいちゃんでほっこりしましたが。)
そして、ようやくマルクノイキルヒェンに到着!
想像以上にかなりの田舎!!草や動物が多いのどかな町で、ストレス社会に疲れ切った方には非常におすすめの環境です。(笑)
早く到着したため、しばらく周辺を散歩することに。
この日は休日だったため、町はかなり静かで店もほとんどが閉まっておりました。
すると奇跡的に名物のヴァイオリン博物館が営業しており、入ることに。
ドイツでは有名な博物館で、中はたくさんのドイツ製の楽器や弓、そして色々な国の楽器が並べられておりました。
当時の製作過程や道具も見学し、マルクノイキルヒェンでのルーツやこだわりなどの歴史を学ぶことができる場所です。
また、途中で館内スタッフのおばさんがローカル弦楽器を目の前で演奏してくれたりと色々楽しむことができました。
中はこんな感じ↓↓
有名な超巨大ヴァイオリンと一緒に。
→見た目はただの観光客
ドイツ2日目。
実は今回、マルクノイキルヒェンを訪れた目的は、みなさんも一度は使用したことのあるGold Brokat弦(特にヴァイオリンE線ではシェア一番)で有名なオプティマ社の工場視察です。
普段使用している弦が一体どのように作られどのように商品化されているのか、はたしてどんなもんなんかと(偉そうですが)実際にこの目で直接確かめることでした。弦の構造や作られ方は本で読んだりもしましたが、如何せんイメージがわいていないというのが現状です。
翌朝、先方にお迎えに来ていただき早速工場の方へ!
道中、様々な有名な楽器メーカー(管楽器、ピアノ、ギターなど)の工場が並んでいる道を進みながらオプティマ社の工場に到着。
オプティマ社は元々ミュンヘン付近(ゲレツリード)にも製造施設を構えており、今年2024年にマルクノイキルヒェンに完全に拠点を移したとのこと。
その際、マルクノイキルヒェンの設備を一新し、弦の製造機器だけでなく、工場内の空調や自給自足用の太陽光パネルなどの最新設備を伴っております。
実際に古くから使用されていた製造機。(これがいつまで使用されていたかは知りませんが。)
しばらくお茶を交えてミーティングを行いつつ、いざ工場内見学へ!
奥へ進むと製造現場が・・・
なんと、手作業で行われているではないですか!?
なんとなく想像していたオートメーション化の世界とは裏腹に、女性ひとりでコツコツと作業されていることに非常に衝撃を受けました。
機械は新しいものが使用されているものの、ディティールはひとつひとつ丁寧にすばやく人の手で行われていて、弦メーカーによるこだわりを感じました。それが現在の価格で流通されていることを想像するとさらに驚きが隠せません。
各弦の種類により担当や製造方法が分かれており、こちらはゴールド弦の作業員さんです。(作業動画を見られたい方は弊社まで。)
そこで、先方オーナーのご厚意により、「君もやってみるかい?」とのことで早速チャレンジ!
まずは弦のワイヤーをフックにかけてテンションを保ったままペンチで引っ張り続け、フットペダルを絶妙な踏み加減で調節しながら弦を捻じります。(初めてやるドラムみたいな感覚です。知らんけど(笑))
案の定、全くうまくいかず、失敗のたびに「〇〇ユーロが無駄になったよ」と煽られながら、最低でも5本ぐらいは切って無駄にしてしまっていたような…。
それでも引き続きご教示を受けながら、最後に糸で色付けをしてなんとか完成!
世界にひとつだけの“鈴木弦楽器 オリジナル弦”です。(笑)
クオリティーを見てもらうと、私の苦労といかほどに難しいことだったかお分かりいただけますでしょうか。(私の製造過程を動画でご覧になられたい方は弊社まで。パート2)
こうして弦づくり?を体験できたことで普段使用している弦も楽器や弓と同じようにメーカーのこだわりが詰まったものであることを実感しました。
この苦労を知れたことは私にとって非常に良い経験となりましたし、今後の楽器の取り扱いだけでなく、弦への意識もより一層高まった気がします。
オプティマ社の方々、本当にありがとうございました。
(※今回紹介した弦の製造方法はオプティマ社によるものです。)
工場視察を終え、マルクノイキルヒェンで有名なおしゃれなレストランに連れて行っていただきました。
こんな感じで至るところに店内にヴァイオリンが。↓↓
昼食後、町内のヴァイオリンや弓工房を巡り、マルクノイキルヒェンの文化や雰囲気を味わうことができました。
辺りも暗くなりつつ、この日は翌日の早朝移動に備えることに。
ドイツ3日目。
早朝、雨の中タクシーで駅まで向かい、そこからいざミュンヘンへ!
ここでもまた乗るべき電車に戸惑い、次の駅での乗り換え時間が7分しかないのに出発が10分以上遅れるというオワコンな状況。
目的駅に着いた途端に駅員から「次のバスがお前らを待ってるぞ!」的な言い方で海外用のでかくて重いキャリーケースを持ちながら走らされるという始末。
これがヨーロッパ文化なのかよくわかりませんが、日本文化のすばらしさにも気づいた瞬間でもありました。(笑)
そこから、バス→電車と数時間かけてミュンヘンへ到着!
ここまで来ると都会感が増し、あたりは”オクトバーフェスト”のイベントでいつもより盛り上がっておりました。
個人的にはすごく気になるイベント(日本でも開催されておりますが)でしたが、時間がないので急いで目的地まで。
着いた先はミュンヘン駅から車で10分ほどのマリオン・ミヒャエル氏の弦楽器専門店。
店内もかなりおしゃれに、楽器が非常に見やすくきれいに陳列されておりました。とてもおいしいお食事もご用意いただき、情報交換やたくさんの楽器を見させていただいて充実した時間を過ごすことができました。
あっという間に時間が経ち、急いでミュンヘン空港へ!
せっかく来たミュンヘンで、もう少し滞在したいところでしたが(本当はオクトーバーフェストも気になってる)、また次回来た時の楽しみにとっておこうかと思います。
ドイツ編は以上です。次はイタリア編のレポートをお届けします。お楽しみに!